意識中くらい系パンダ

超絶意識低い系無気力人間だったけど最近少し意識高くなった人の話

弱点が増えた日

 

 

下痢気味の人には分かると思うが、下痢になるとお尻を拭く回数が増える。

拭きすぎて血が出ることもある。

 

通常は下痢が治ると出血も収まる。

だがある日、酷い目にあった。

 

そのころ、私は椅子を買ったばかりだった。

その椅子は人間工学に基づいて長時間座っても疲れないという触れ込みの10万円近くする椅子だ。

 

私はよくその椅子にパンツ一枚で座っていた。

テレビをつけた状態で音楽を再生し、携帯をいじりながら本を読んでいた。

そうやっているといつも知らないうちに時間が過ぎているのだ。

 

そうしてどのくらい座っていたか分からないが、途中で違和感を感じ始めた。

何か股のあたりがヌルヌルしていたのだ。

 

驚いて立ち上がってみると、私の大事な椅子に赤いものがついていた。

 

これはまさか血か…?

よく考えると、最近、下痢が続いていて、綺麗好きの私はお尻を拭きまくっていた。

そのときからなんとなく微かな痛みを感じていた。

にもかかわらず、長時間座ってお尻に負担をかけたので、ついに大量出血したようだ。

 

(まさかこれは痔というやつなのか…)

 

人間工学に基づいて設計された椅子ではあったが、疲れは抑えられても痔までは抑えられなかったようだ。

 

とりあえず、翌日の夕方は当時付き合っていた人が家に来る予定だったが、キャンセルした。

まさか痔で出血して椅子と床を汚したなんて言えない。

そして、何よりまず出血を止めなくては。

 

とりあえずお尻にメンソレータムを塗り、トイレットペーパーを当ててその日はしのいだ。

 

しかしなかなか血が治らない。

病院に行くべきなのか。

「痔で病院に行く」ということに恥ずかしさがあったため、戸惑っていた。

 

とりあえずネットで調べてみよう。

ネットで調べると「痔は自然には治らない。何度も繰り返す。早く病院に行かないと手術になるぞ!」と脅している人がたくさんいた。

 

これはもう何はともあれ行ってみるしかない。

病院に行かなくても治るかもしれないが、ここはリスクを最小限に抑えたい。

翌日の朝、近所の病院へ行った。

 

医者「今日はどうしました?」

ワイ「お尻から出血してます」

医者「ちょっと見せてください」

ワイ(尻の穴見せろなんて気楽に言うなよ…)

医者「…これは痔ですね」

ワイ「うっ…そうですか」

 

心のどこかでこれは痔と呼ばれているものではなく、ただ単にお尻を拭きすぎているだけです、と言ってもらえるのではないかと期待していたが、現実を突きつけられてしまった。

また私の弱点が増えたと知った瞬間だった。

お腹だけでなく、お尻の穴までとは…。

 

ボラギノールのCMを笑って見ていられた無邪気な自分はもういない。

その代わり、これからは他人の痔の苦しみに少しは寄り添えるはずだ。

こうしてまたひとつ大人になったのだ。

 

医者「今ならまだ重症ではないので、薬を塗ってしばらく様子を見ましょう」

 

様子を見ると言っても自分の目で見ることはなかなか難しく、かと言ってまた病院に来いとも言われなかったので、とりあえず血や痛みが止まれば良いという解釈をした。

しかし、椅子が血だらけになるほどだったのに、これでも重症ではないのか。

これについては不幸中の幸いだった。

 

その後、1週間ほどは病院で出された飲み薬を飲み、座薬を入れて過ごした。

最初は自分で座薬を入れるのに手間取った。

座薬は体温で溶けるようにできているので、グズグズしていると中に入る前に溶けてしまう。

ネットでコツを調べながらやるとなんとかうまくいった。

これも一つの経験だ。

出来るだけ前向きに捉えようと頑張った。

 

こうしてなんとか治ったが、これからは下痢だけでなく、痔にも気をつけて生きて行かなくてはならない。

 

今までなぜウォシュレット付きトイレがこんなに流行っているのか分からなかった。

ウォシュレットは気持ちいいという変態的な話は聞いたことがあったが、痔の予防に効果があるとは知らなかったのだ。

 

その後、油断した時にまた出血したので、それ以降はウォシュレットを可能な限り使うようにしている。

それ以来、出血はほとんどなくなったが、常に気をつけるようになった。